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 「劇場版 響け!ユーフォニアム」のこと

 GW前に「劇場版 響け!ユーフォニアム」を観た。
 もう公開終わりそうだけど。

 あえて、パンフレット未読で感想を。

 劇場版WIXOSSと対象的にスタンダードな総集編。
 基本的に各話の見どころを繋げていくスタイルで、物語のダイナミズムや描写の積み重ねによる熱量を考えると、TV本編の方が印象深かったかな……とは思うのだけど。
その、各話の見どころが素晴らしいので、それだけで見入ってしまう。
さらに、TV版でもそうだけど、話が進むほど凄味が増していくわけで、再オーディションからコンクール本番、ラストまで。怒涛のような彼ら彼女らの吹奏楽に対する「熱」に飲み込まれてしまうようだった。

 というか、あらためて思う。こいつら吹奏楽大好きだよな、と。
 物語上の都合はさておき、いきなり現れた新人優男メガネ顧問にボロクソに演奏けなされて、合奏もさせてもらえないまま基礎練や体力づくりやパート練習ばかりさせられて、「顧問を見返してやる」って普通は思わないよ、高校生の部活は。
1年はまだしも、体制がめちゃくちゃだった前年でも辞めずに残って続けるくらい、今の2年、3年に吹奏楽への深い執着が根っこのところであったに違いない、と思う。
葵が部活やめるのも、今見直したらサンフェスの後、なんだよね。
オフィシャルガイドブックに手入れの行き届いたテナーサックスが本音を物語ると書かれているけども、自身の持つ吹奏楽への情熱をコンクールでなく、サンフェスで出しきったと感じた部分もあるのだと思う。
原作未読なのでもしかしたらその部分も掘り下げられているのかもしれないし、やっぱり自分の妄想なのかもしれないけども、学生時代、合唱部で似たような3年間を過ごした身としては、一人ひとりの心情を色々想像してしまうのだ。

 作画の主だった新規カットはラストの演奏辺りか。各パートのカットが追加されているのと、エンドロールの授賞式後の部員のシーン。個人的にはコンクールのCD音源売場を眺めてる緑輝がツボ。
 画面の話でいくと、作画よりも衝撃だったのは撮影処理。アニメスタイル007で解説されているように今回の「響け!ユーフォニアム」はこれまでの京アニ作品と比べてもとりわけ撮影処理に手間をかけている作品なのだけど、度肝を抜かれたのがTV本編で5話に該当するサンフェスのパート。

 風景の緑色が楽器に映り込んでいる!

 サンフェス回はTV放映時に唯一録画失敗した回だったので観た回数は1回こっきりだけど記憶ではそんな処理はしていなかったはず……もしかして気づかなかったか、それともBD修正時に追加されたのか?と思い、5話が収録されたBDを購入して先ほど観てみたのだけど、やっぱりBDでも緑色の映り込みは無い!間違いなく、劇場版で足した処理なのだ。
 正直、ここまでするか、と思った。劇中の部員達への音楽にかける情熱と同様、京アニスタッフもまた、表現に対してとことんまで貪欲なのである。

 ここまでするか、という点では、音響周りのバージョンアップも尋常では無かった。
流行りの高級スピーカーに合わせた音響、とは違う。もちろん吹奏楽を扱う作品としてTV版からこだわりを持って各楽曲は制作されており、それを劇場の良い音響空間で聞く価値はあるし、Liveバージョン上映というのもやっているようだけど。

 「劇場版 響け!ユーフォニアム」の音響の真骨頂は、効果音だ。

何話か録画も確認してみたけど、明らかに、今までついていなかった所に音がついている。
 楽器を置く音、楽器を持つ時のこすれた音、息づかい……とりわけはっきり分かるシーンは、再オーディションの所だろうか。香織先輩と麗奈がそれぞれソロを吹く所で、息を吸う音や口元の微妙な震えの音が聞こえたときは、スクリーンを観て感動しながら驚愕してしまって、感極まってしまった。

 細部に魂を込める。いかにも京都アニメーションらしい、こだわり方だと思う。

 唯一残念?なのは、アニメスタイルのインタビューで山田尚子氏が話してた「この作品の劇場版を作る事になった時に、これ以上のクオリティにできるのかしらと、一瞬不安に思うくらい」という、あの12話三好一郎コンテ回、夏の日差しの照り返しを受ける久美子のアップのシーンがカットされてたこと。もしかするとアニメスタイルのインタビューも影響している、かも?
 だけど、個人的にシリーズ通して一番の名言だと思っている、同じく12話のラスト、滝先生の「あなたのできますという言葉を、私は忘れてはいませんよ」はちゃんと残っていたので良いかなと思う。これ、三好一郎さんオリジナルの台詞なのがまた凄い。劇場観終わった後に届いたファンブックでシリーズ構成・全話脚本の花田十輝氏も一番印象的な台詞だと述べているし。
 BDの5話のコメンタリー聞いてたらサンフェスの謎ステップは三好さんが作画して、それをデータ化して資料としてアニメーターに配布したとのこと。もう、三好一郎さん凄すぎる。

 5話のコメンタリーは公式ファンブック読んでても一番想い入れの深そうな斎藤音楽プロデューサーと山田尚子さんの回で、すごく熱い話が聞けて面白い。
 斎藤プロデューサーのいい音楽とは何か、という話で、高校時代合唱部だったときに先輩から教わった、聞く人の心に届く音楽を演奏して、その上でコンクールでも勝つ演奏にするんだ、という言葉を思い出した。

 BD3巻目まで買ってようやく気づいたけど、再生直後に流れる製作会社のタイトルロゴ、京アニからスタートしてた。ということは京アニが一番出資してるわけで、もう一度ファンブック読み直すと、製作委員会の幹事社らしい。
ポニーキャニオンとランティスっていう取り合わせが不思議だったんだけど、それなら納得がいく。
 最近の京アニ作品をソフトで観ていないから分からないけど、他の作品もそうなのかな。だとするとビジネス的にもそりゃデカイよな……



 ちょっと話がとりとめなくなったので、ここまで。
 もう公開終了まで日が無いと思うけれど、特に再オーディションからのドラマの密度と熱量は良い感じなので、TV版のファンは是非見て欲しい、と思う。
……ようやく、パンフレットが読める。

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2016.05.12 | Comments(0) | Trackback(0) | アニメ・アニメーション

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