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表現する、ということ

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/932258.html

という記事を友人に教えてもらう。
Deep Loveは自分も読んだが、あんまりにもつまらないので途中であきらめてしまった。
その時は、「ああ、今はこんなに描写力が無い本が売れるんだな」ぐらいしか思わなかったが、自分が友人とやってるゲーム作りを通して創作者に回っている経験を踏まえると、また違った見方が出来るように思える。

自分にとって、10代の女性作家というとまず新井素子が思い浮かぶ。彼女は1980年代に主にコバルトで活躍した作家で、氷室冴子、久美沙織らとともにコバルトの黄金時代を築き上げた人だ。
皆実力のある作家だったが、とりわけ新井素子はその一人称で背伸びしない独特の文体で当時の10代の読者(男女含む)の小説観を変えてしまった。(詳しいことは、久美沙織が当時のコバルトについて書いたここを参照)
10代の若者が、自分たちが普段使ってる話し言葉を用いて一人称で小説を書くというのは彼女が先駆けとなり、80年代後半に大流行する。先ほどのリンク先にもある「いちご白書ブーム」という奴である。この一人称の書き方の影響は、今のラノベやギャルゲーにもあると個人的には思っている。
と、言うわけで今の高校生が自分たちの使ってる文体や文字で「小説を書こう!」と思っても、自分はその気持ち自体は決して否定はしない。描写力が足りないのは書いてけばついて来るものだし、要は大事なのは「書こうとする意思」だからだ。
それでちょっとググって見たら前半だけアップされてる携帯小説がヒットしたので、少し読んでみる。

http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=hidamari_book

……。
あー、なんていうか、よくいるマックで化粧するよな女子高生が、レイプやら妊娠やらいろいろドロドロした騒動に巻き込まれながら仲間やカレシは大切だ!って実感する話?
なんだろう、このあっさりした感じは。彼女の人生にとっては非常に忘れられない出来事だった、というのはかろうじて分かる。彼女やまわりの人間の価値判断の基準が理解できないが、まあそういうこともあるだろう。アメリカ人のコントがどうしても理解しきれないのと同じことだろう。世の中にはいろいろな人がいる。
問題は、この小説には「~が~をした」という事実だけしか書いてないことだ。
叙事詩じゃあるまいし、小説で大事なのは、小説内で起こる出来事に対する登場人物の心情描写だろう。それが全然ないのである。あったとしても2,3行。「とっても嬉しかった」「スッゴイ寂しかった」みたいなのばかり。
せっかく伝えたい、という気持ちはあるのに、それを伝えたいがための表現が足り無すぎるのだ。しかも技術が足りないというか、そもそも工夫しようとする意思が感じられない。なんでそんなことになってしまうのか。
一つ思ったのは入力デバイスの問題だ。自分自身そんなにキーボード打つのが早い方ではないけれど、それでも携帯で入力するよりは圧倒的に早い方だと思う。この入力速度の差が、知らないうちに文章の表現力に影響してくるんじゃないだろうか。
以前アニメスタイルでの連載で、首藤剛志が手書きからワープロ変えたことで文章を書く速度が落ち、文体が少し変わってしまった。ということを書いていた。

http://www.style.fm/as/05_column/shudo74.shtml

もちろんキーボードで文章を打つのは、努力さえすれば手書きとそれほど変わらない速度で打てるだろう。だが携帯と比べたら?漢字変換なども含めれば、かなりの差がつくのではないだろうか。携帯は元々文章を打つための機械ではないし。
量を書いていないから表現力が身に付いていない、という指摘も、携帯で小説を書くのは時間がかかる、ということを考えれば当然かもしれない。まあ普段自分も文章書かないからこれは人の事は言えない。ブログ書いてたり、ゲームのシナリオ直そうとすると自分のあまりの描写力の無さに気付いて愕然としてしまう。だからこそブログやって数こなそうとしてるわけだけど。
と思ったらこんな人も見つけた。内藤みかという携帯小説家で、これまでにアダルト小説やエッセイを50冊以上書いてるらしい。いくつか試し読みできたので読んでみると、なかなか面白い。前者とは文章の質が全然違う。携帯の操作に熟練したり、文章打ちやすい携帯に機種を変えたり、短い文章でも伝わるよう表現を工夫したりと書き手が努力すれば、携帯でもしっかりとした文章は書けるということか。
ケータイ小説によくある批判の中に、小説中に暴力・性描写が多いというのがあるがそんなことは問題じゃないよな。大事なのは自分の表現したいものを相手に伝える、ということであって。表現したいものを表現するのに創意工夫するのを忘れてしまうから、その人の文章がそれ以上良くならない。
なんとなく書いてみてそれで終わり、っていうだけでは何も意味が無いんだよな。

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2007.03.06 | Comments(0) | Trackback(0) | その他もろもろ

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